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土曜の朝を開拓!20周年を迎えた「セーラームーン」&「グランセイザー」【前編】

土曜の朝を開拓!20周年を迎えた「セーラームーン」&「グランセイザー」【前編】

今から20年前の2003年10月4日・土曜の朝。ある2つの番組がスタートしました。

一つは、女の子を中心に人気を博し、90年代にはアニメ化もされた漫画「美少女戦士セーラームーン」の実写ドラマ。もう一つが、「ゴジラ」シリーズを有する東宝が7年ぶりに製作したオリジナル特撮番組「超星神グランセイザー」。

世間的には「爆竜戦隊アバレンジャー」&「仮面ライダー555」がの“ニチアサ”が20周年でいろいろ盛り上がっているそうですが、特撮史を語る上で忘れてはならないこの2作についても、ぜひ知ってもらえたら…というのが今回のコラムです。

予定調和じゃ面白くない!を実写版「セーラームーン」

実写版「美少女戦士セーラームーン」は、北川景子が火野レイ/セーラーマーズ役で出演していたことで、番組そのものはご存じの人も多いと思います。そして、沢井美優(月野うさぎ/セーラームーン役)、浜千咲(現・泉里香 水野亜美/セーラーマーキュリー役)、安座間美優(木野まこと/セーラージュピター役)、小松彩夏(愛野美奈子/セーラーヴィーナス役)の主要キャスト5人全員が現在も芸能界の最前線で活躍。今も“戦士会”と称して集まっていることが、よくSNSで話題になっています。

(著者所有物より)

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スタッフは前年に「仮面ライダー竜騎」を手掛け、今やジャンルを超えて活躍する小林靖子が脚本を、現在も「仮面ライダー」シリーズで活躍中の田崎竜太がパイロット監督を務めました。物語的には、序盤は原作やアニメの雰囲気をそのまま彷彿させる演出で、コミカルな展開のなかにもセーラー戦士たちの成長や葛藤が丁寧に描かれたほか、生身の戦士たちのアクション描写にも注力され、東映が平成ライダーシリーズで培い始めたリアル志向のドラマで魅了。実際、当時ライター&戦隊を見ていた層の視聴も多かったのではと思います。

実写版「セーラームーン」には原作&アニメとの違いが結構あったりします。まず開始当初からの違いとして、美奈子がうさぎも憧れる人気アイドルとして描かれます。そんな美奈子の持ち歌には「予定調和の小説や映画がつまらないように ジンセー(人生)も少しズレたら面白いかもしれない」という歌詞があり、この曲を地で行くように実写版セーラームーンは、第2クール辺りからジワジワとオリジナル展開へ。

なかでも驚きだったのが“セーラー戦士の闇堕ち”。5人のなかでもおとなしい優等生の亜美が敵の計略に堕ち、うさぎたちの敵=ダークマーキュリーとして立ちはだかる展開です。しかも、従来の特撮にありがちな1話のみの展開ではなく、しばらくの間、彼女たちは対峙することに。昨今のライダーや戦隊ならありがちな設定を、20年も前に採用したのは実にチャレンジングだったと思います。

そうしたダークマーキュリーの登場や、美奈子がうさぎたちとは合流せず独自行動をとっていたために、セーラー戦士の5人そろい踏みをなかなか見ることができなかったのですが、よくよく考えるとこれは同時期に放送されていた「アバレンジャー」もそうでしたね。

この他にもうさぎを見守るネコのルナが人間態のセーラールナ(演:小池里奈)になったり、敵側もクイン・ベリル(演:杉本彩)やダークキングダム四天王(演:増尾遵、松本博之、遠藤嘉人、窪寺昭)がほぼリアルに実写化されながらも、後半にはこちらにもオリジナルの展開が…。

物語的にはハッピーエンドではありますが、そこへ至るまでは初期の平成ライダーを彷彿させる過酷な運命も彼女たちを待ち受ける――。いま見てもドラマ、アクション、そしてキャスト的にも決して色あせない傑作です。

ノリは「全員集合!」1日限りの奇跡のステージ

そんな実写版「セーラームーン」は放送後から現在に至るまで、再放送は東映チャンネルなどで行われたものの、配信は一切ありません。東映特撮作品をほぼほぼ集めた「東映特撮ファンクラブ」でも配信がない2大番組の1つです(あと1つは「東映版スパイダーマン」)。視聴はDVDレンタル&購入に限られてしまうのが現状です。

そして実写版「セーラームーン:は、ある1日限りのイベントを収めたDVD「美少女戦士セーラームーン キラリ☆スーパーライブ」が存在します。これは、放送当時の2004年5月2日、有楽町よみうりホールで主要キャスト全員が出演して催されたスペシャルライブイベントの模様を収めた作品です。

(著者所有物より)

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ステージでキャストによるオリジナルのストーリー劇が演じられたのですが、客席の子供たちにセーラー戦士が呼びかければ、子供たちの声援に応える(後半はダークキングダム四天王が客席側へ降り、子供たちを悪へ誘い込もうとしつつお母さまたちに喜ばれる悪ノリ演出も)、さらにキャストたちがキャラクターソングをステージ上で熱唱。北川景子が歌う姿を映像で見られるのも、かなり新鮮では? イベントのノリは完全に「8時だヨ!全員集合」です(古っ)。

今では貴重なお宝映像、もし機会があればぜひこちらもチェックしてみてほしいところ。というか…「アバレンジャー」だって20年越しに全員集合したのだから、セーラー戦士も“大人セーラー戦士”として再結集…も十分アリな気も…。

実際、2019年に放送されたスーパー戦隊シリーズ「騎士竜戦隊リュウソウジャー」には、うさぎ役の沢井美優、地場衛/タキシード仮面役の渋江譲二、古幡元基役の黄川田将也が3人揃って、先代のリュウソウジャー=マスター役で揃って出演。シリーズ後半には小松彩夏もゲスト出演した他、2021年にはマスター3人を主人公にしたスピンオフが作られたりもしました。

劇中には「セーラームーン」ファンには嬉しい演出などもありますが、3人の活躍を見ていると、「まだまだ『大人版セーラームーン』とか、できるんじゃない?」とは思わされますよね。いずれにしても、いまもこうして当時のキャストたちがさまざまな方面で活躍されているのは嬉しい限りなのです。

【後編】へ続く。

https://sunkleio-t.com/blog/gransazer-20th/
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